大学院を考える方へ

大学院生(修士・博士)を募集します。薬学部に限らず、医科学・生命科学・工学・理学など他学部出身者も歓迎します。本ページおよび研究内容をご覧いただき、興味ある方は降幡まで御連絡ください(アドレスはメンバーのページにあります)。

 

その手で創る、思いを形にする、

人生を楽しむクリエイター 目指しませんか?

 

学位取得を考えている人・悩んでいる人へ

 

世界を変えうるあなたの可能性、気づいてないの?感じてないの?

 自らの手で薬の世界を変えていく―。自分のアイデア、自分の行動、自分の発言、それにより自分の周りが、組織が、医療が変わっていく。考えてみたことはありますか?とてつもない大事をやるかのような錯覚に囚われていたり、自分にはそこまで出来ないと思い込んでいたり、どのようにやるかわからないという理由で、考えてみたこともない、現実味がわかない人が殆どではないかと思います。

 でも!!10年後、20年後、薬の世界を変えているのはあなたかもしれませんよ?あなたが手にする一歩が、その時には誰しもが気づかない小さな変化や進歩であっても、それは薬の世界を変える0.0001歩かもしれません。その歩みは数年後に1歩へ、さらに将来大きな革新へと花開くことがあります。あなたにはその可能性があるのです。本当にそうなること想像したらちょっとわくわくしませんか?

学位の価値 ー 必要な人にとっては宝物

 上記のような歩みにおいて、学位(とその取得までに得た能力)は大きな助け、ときに必須のものとなります。当然ながら学位がなくても能力の高い人、薬の世界を変えうる人はいます。しかし、出会ってすぐにその人の生き様なんてわからないですよね?学位は、本来、相応の覚悟と努力と結果があって初めて取得できるものですから、その「覚悟と努力と結果により身に着けた能力とプロとしての生き方」の証明書として、学位には国際的な価値があります。海外(特に欧米)では、学位があるとないとでは日本では想像が出来ないくらい明確な線引きが行われます。残念ながら学位を持たないと、一人前として見てもらえず、その人からすると冷遇だと思うような心底悔しい対応をされる場合すらあります。ですので、学位は、やりたい事をやる機会に恵まれ、やりがいある仕事を任される機会が増え、さらにやりたい事が円滑に進むための助けでであり、世界で活躍するにあたっては時に二つとない宝物となりえます。

学位が意味するもの ー 自分の能力の代名詞

 では、学位が示す、「覚悟と努力と結果により身に着ける能力とプロとしての生き方」とはなんでしょうか?博士研究課題に関すること?実験に関すること?勉強に関すること?? 

 学位はその領域の専門を突き詰めると思われていることがあります。間違いではない部分もありますが、日本ではそこに大きな誤解が伴っています。大学院に行ったら研究者だとか大学教員だと決めつけるのは短絡的です。ハーバード大学では学位(Ph.D.)の意味として「Mastery of a broad discipline of learning together with demonstrated competence in a special field within that discipline」と記述されています。このような欧米の基準をベースに色々な考え方があると思いますが、私個人的には、学位が示すものは創造能力とメンタリティーであると思っています(少なくともそうであって欲しい)。それが芽生えであってもOK。

 薬に関する職種ごと業務内容は異なりますが、実は求められていることは、その場・社会・世界の目的達成に向けて戦略上の問題・課題を見出し、それを解決して、新たな価値を生み出していく(未来を切り拓いていく)能力です(=創造能力)。このように書くと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、事の大小は問題ではありません。というより大小は生み出した時点では測れないものも多々あります。いずれにしても、どの職種でも創造能力が求められています。学力はこの能力の一端を成しますが、学力=能力ではありません。

 また、創造能力を成長させる・発揮するには原動力となるメンタリティーが必要です。メンタリティーは意欲であり自覚であり…、これらが入り混じった内から湧き出る、その能力を支え、成長させる心意気のようなものです。プロフェッショナルマインドとも呼べると思います。私個人の考えでは、仕事や取り組む事に対して自身の世界観と理想を持ち、そこに向かって情熱と自覚を持って自らの能力を磨き、小さな積み重ねを続け、周りを巻き込んでその世界を広げていくことと思っています。ただ、定義は人それぞれなので、その人の中で芽生えを感じ、自らのものとして醸成していってもらえればよいと思います。

学位取得を目指す学生へ - 自分が変わるチャンスだよ

 私が大学院課程で育みたいことは、学生の創造能力とメンタリティーの芽生えです。博士課程での時間を真剣に過ごした人には、その創造能力とメンタリティーに飛躍的な成長があります。これまでの学歴による評価から一気に解放され、自信に溢れる新たな姿を見せてくれます。学位取得を通じて芽生えた創造能力とメンタリティーは、卒業後も成長を続け、必ずやあなたの人生に新たな活躍の場をもたらすことでしょう。学位は、偉くなるとかお金持ちになるためでなく、あなたの人生の生きがい・やりがい・幸せをつかむために取るものです。当然ながらやりたい事に照らし、学位が必要なければ取る必要はありません。

 輝きながら理想を掲げ自分自身の手で物事を動かし世界を変えていく ― とてもやりがいがありますよ。スーパースターになる必要はありませんし、生き方は途中で変えることも出来ます。難しく考える必要はありません。たとえ何か失敗しても、それは絶望ではありません。一つの扉が閉じた時、別の扉が開くと言いますが、またそこで頑張ればよいだけです。自分の人生は自分で創っていくのです。これまでに私は、学位を取りたかったなと振り返っている人は知っていますが、学位を取得して後悔している人に心当たりはありません。

 一度きりの人生、学位とともにやりたいことに本気で挑戦してみてはいかがですか?
 

学位取得の先にある未来

 学位を取ると進路が限られると誤解している人も多いのですが、就職先は様々です。学位はあくまでもあなたのやりたいことを助ける脇役ですから。

学位取得後の職種の一部を下に記しますが、これら以外にも国家公務員、省庁関係の研究機関や審査機関の職員、弁理士、ベンチャーの起業、コンサルティング業、サイエンスライター、等々たくさんありますよ。

●イノベーションを起こす創薬人

 学位を取って活躍する職種として製薬関連企業の研究職をイメージする人が多いと思いますが、そればかりではありません。例えば、治験プロトコールを企画する臨床開発部門や、科学的な情報を基に医師と薬を育成していく学術職が挙げられます。さらにこれら部門にとどまらず、キャリアを積み重ねて企業の中枢で活躍する際にも学位は助けになるでしょう。特に、海外と仕事をする際には、学位は国際的な能力証明書としての役割を果たしてくれます。

 薬を世の中に広げられるのは製薬企業だけです。一つの画期的な新薬は医療全体にイノベーションを起こし、治らなかった疾患が治る時代を創ります。大学院時代に培った創造能力とメンタリティーを活かし、新薬開発から治療にイノベーションを起こすことを目指してみては?

●エキスパートとして活躍する病院薬剤師

 私の知り合いの病院薬剤師は次のように言っています:「薬物療法における問題点を適切に抽出して解決する能力、論文等から情報を適切に収集する能力、情報をわかりやすくまとめて他者に伝える能力、自分が行った指導の記録を正しい日本語でわかりやすく記載する能力等 - 病院薬剤師の仕事は研究活動と良く似ています。また、基礎(大学や企業)と臨床現場をつなげる能力を身に着けるためにも、学位取得は意義があると思います」

 臨床現場では、薬物治療上の、または制度上の課題に必ずや遭遇します。また、新たな医療技術の革新や治療選択肢の登場により、病棟での薬剤師の在り方そのものを大きく変えていく必要が出てきます。薬剤師だからこそできること、すべきことがあります。エキスパートの一人として、積極的に現状の課題を解決し、新たな薬剤師の働き方を提案するにあたり、大学院時代に培った創造能力とメンタリティーは大きな助けになるでしょう。また、学位は(特に大学病院では)薬剤部長や教員になる上で必要ですし、そうでなくても、専門や認定、指導薬剤師の資格要件を満たす際に、「大学院で培った能力」は必ず役に立ちます。

●未知へ挑戦と次世代を育てるアカデミア

 基礎であれ応用であれ、アカデミアの役割は0を1にすることです。すなわち人知の限界を拡げていくことにより、次の世界・次世代の可能性を切り拓いていくことが求められる業種です。また、大学教員であれば、次世代を託す人材を育てることも大事な使命です。現在社会の要請や将来に向けて、どのような人材をどのように育てるか、手腕が問われます。自らの看板を掲げて仲間とともに次の時代を見据えて自らの思いを形にしていくこと、さらにその意志を後進に引き継いでいくこと、この最初のトレーニングが博士課程であり、アカデミアを目指す人は大学院時代からその人生が始まります。 

大学院での研究テーマについて

 原則として、研究概要にある研究テーマおよびその関連課題を進めます。ただし、その年度から新たに開始する課題やホームページに記載していない黎明期にある課題を進める場合もあります。

 テーマ決定までの流れ:上記を踏まえ、教員から研究テーマ案を提示します。内部進学・外部進学問わず、学部時代の研究課題は一度脇に置いておき、これからの4年間を通じてあなたが没頭できると思われるテーマを改めて検討してください。また、指導教員の育成方針との相性も大切ですので、教員との個別面談も行います。その上で、あなたがやりたい事、興味ある領域、目指す将来の姿、を尋ねます。その希望を最大限尊重する方針で、全員の合意により研究テーマと実験指導教員を決定します。

育成方針

 主体はあなたです。あなた自身が「やってやるぞ!」という意欲を持つことが第一です。下記の能力を身に着けるとともに、担当する研究テーマについては、少なくとも国内で第一人者となるつもりで取り組んでください。不安はあると思いますが、それは誰しもが通る道。最初から自信を持って学位を取ろうと思う人は数少ないはず。私達がケアします。

能力育成:まず、論理的思考力をしっかりと指導します。MECEとは何か、論理の一貫性とは何か。論理的思考力は研究ばかりでなく全ての仕事に通じる重要な考え方です。それを基盤として研究能力の育成につなげていってもらいます。力がついてきたら、個々の課題や研内容究を判断・評価する力、分野や領域を俯瞰できる力、潮流を見極める力など、大局観を身に着けていってもらいたいと思っています。

プレゼンテーション能力育成:スライドの構成から内容の表示の仕方、態度に至るまで、「見せる」から「魅せる」発表へと進化させたいと思います。プレゼン力で、あなたの評価は大きく変わります。同時に質問力も鍛えます。質問をすることは、相手から情報引き出し、かつ自らを守るために必要です。

研究能力育成:戦略と戦術を知り、中間目標を定めながら、課題を見出し、さらに解決する力を養います。仮説・計画の立て方、予想外の結果への対応、全く新たな事に挑戦する時のやり方、などを指導します。また、その領域の世界最先端を知り・触れ・体感する機会を提供し、研究の潮流や少し先の将来を見据える力、課題のインパクトを見定める力、アピールする力、国際的な感覚も育成したいと思います。また、研究者は孤独ではありません。仲間と連携・協調しながら研究を進めて行く力を養成します。

英語力養成:英語は単なるツールですので、英語力のみ鍛えても本末転倒です。ですが、英語があまりにもできないと、国際的な舞台に立てません。英語でのポスター発表や数分程度の口頭発表が出来る程度をまずは目指します。さらに得意な人は、英語での議論や懇親会参加を目指したいと思います。

具体的なやり方はこちらに示します(降幡担当分)